胃がちくちくします。
3日前、頭痛と吐き気と寒気と胃腸の不調が1度に来て、風邪引いたかと慌てました。しかし今は胃痛だけが居残ってます。胃痛は置いてけぼりされた…。
この間のやつの続きです。ここまでは書いてあった。このあとがどうなるのか自分でも分からない…。下の続きからどうぞ。
あと、こるみをちょこちょこ書いてますのご報告。次はそれかな。
3日前、頭痛と吐き気と寒気と胃腸の不調が1度に来て、風邪引いたかと慌てました。しかし今は胃痛だけが居残ってます。胃痛は置いてけぼりされた…。
この間のやつの続きです。ここまでは書いてあった。このあとがどうなるのか自分でも分からない…。下の続きからどうぞ。
あと、こるみをちょこちょこ書いてますのご報告。次はそれかな。
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すきなひと2
「なんでおまえがここにいるんだよ、ザックス」
「いいだろ、俺はクラウドのトモダチだ」
「俺はクラウドと二人で話をしたいんだ。だからおまえは邪魔」
「邪魔って何だよ。話すだけなら別に俺が横にいたっていいじゃんか」
「何度も言わせるなよ。俺は二人で話したい」
選んだのは、天井から柱、床、テーブルや椅子に至るまで、木材が使用されているアンティークな雰囲気が漂う喫茶店だった。暖かみのある淡いオレンジ色の灯りが小さなテーブル越しに向かい合って座る二人を照らしている。
クラウドは居心地が悪そうに肩を小さくして、カンセルの顔をおずおすと上目遣いに見上げた。
「ちょっと話がしたかったんだ。悪いな、つき合わせて」
「いえ…、あの、話って…?」
クラウドは自分の背後を気にして、ちらちらと落ち着きなく視線を送っている。その先には、こちらの様子をじいっと窺っているひとりの男が座っていた。通路を挟んで三つほど離れたテーブルだ。その男は隠すことなく堂々と自分の存在をカンセルとクラウドにアピールしていた。言わずもがな、ザックスである。
「とりあえず今はあれは気にしないで」
少しでもクラウドをリラックスさせることができたらとカンセルは笑顔を向けたが、クラウドは目の前にいるカンセルよりもザックスのほうがどうしても気になってしまうようだった。
「…でも一緒のお店にいるのになんで…」
「そんなにザックスと一緒にいたい?」
途端にクラウドはぱっと顔色を変えて、ぶんぶんと激しく首を横に振った。
「そんなんじゃないです!」
「まあ俺相手じゃ退屈かもしれないけど、すぐに解放してあげるからちょっとだけ我慢してよ。そのあとはあいつと一緒にどこに行っても構わないからさ」
「そんなつもりじゃないです。だって今日はカンセルさんとしか約束してないし、俺別にザックスとは…っ」
口では必死に否定していても顔を真っ赤にさせているのでは意味がない。
「……ふうん…」
カンセルはそんなクラウドの顔を身を乗り出して覗きこんだ。
なるほどなぁと思う。
おとなしくて控え目な性格であまり目立たず、普段はきれいな髪の色と整った顔立ちがまあ多少印象に残るかなあという程度の少年だが、こうしてよくよく見ると割と…。
「な、なんですか」
「いや、ザックスが構いたくなるのもわかるような気もするなあって思って」
「は…?」
「かわいいなって意味」
カンセルが手を伸ばしてクラウドのつんつんはねた髪をくしゃっとかき回したら、向こう側で「おまえ何してんだクラウドから離れろーっ」と騒ぐ声がしたが、カンセルは当然無視をする。
カンセルは顔をクラウドに寄せたまま、離れた場所の友人に声が届かないようにわざと小声で話しかけた。
「ザックスに聞いたよ」
「…何をですか?」
「付き合うんならザックスじゃなくて俺の方がいいって言ったんだって?」
「あ…っ、え、そ、それは…」
クラウドは目に見えてうろたえて、ちらっとザックスを振り向き、それからカンセルに向かって慌てた様子で言葉を継いだ。
「す、すみません…! あの、不愉快な思いをさせてしまったのなら謝ります。あなたの名前を出したのに、別にそんな深い意味はなくて…っ、まさかザックスがカンセルさんに言うなんて思わなかったから…ごめんなさい!」
「不愉快だなんて思ってないけど、もしかして何かの勢いで心にもないことをザックスに言ったとか?」
「いえ! …いいえ、そうじゃないけど、あの……」
「俺は選んでもらってうれしかったんだけどな」
「…カンセルさん…」
クラウドは頬を赤らめ、どういうつもりでカンセルがそんなことを言ったのだろうと探りながらも、上目遣いで困ったというように恥ずかしそうにちらちらと視線をカンセルの方に向ける。
「おまえ…本当にかわいいな」
「…そういうふうに言われるのは…嫌い、です…」
「ザックスにもよくそう言われてるだろう?」
「……」
クラウドはこれまで以上に顔を真っ赤に染めて口をヘの字に曲げ、カンセルを見上げる。その通りだと彼の目がカンセルの問いを肯定していた。
その顔を見れば、カンセルには分かってしまった。クラウドがザックスのことをどう思ってて、どういうつもりでザックスと比較してカンセルの名を出したのか。分かるような気がした。
「…おまえも苦労してんな」
「……どういう意味ですか」
「あんな女たらしの、ある意味鈍感なやつの気を引こうって一生懸命なんだなっていうのが今回のことでよく分かった」
「まさか! ち、違います誤解です! 俺はザックスのことなんて…!」
「もしかしたらお兄ちゃんに構って欲しい弟の心境ってやつかもしれないけど、とにかくザックス相手じゃ、それもなかなか大変だ」
「だからそんなんじゃ……っ」
クラウドは急に勢いをなくし語尾を弱めると、じわじわと俯いて口をつぐんでしまった。
カンセルはクラウドの背後のザックスに目をやる。距離的にこちらが何を話しているのかまでは彼にはわからないのだろう。それでも心配そうな顔で終始こちらの様子をじいっと見つめている。
あんな調子のザックスに、目の前のこんな様子のクラウド。
ザックスがクラウドを思う気持ちは弟を心配するそれのような気持ちで、クラウドがザックスを慕う気持ちは弟が兄を思うようなそれなのだろうか。それとも。
カンセルは、もしこれが万が一にでも「恋心」だったとしたら、と仮定して考える。
だとしたらきっと放っておいたらいつまでたってもこのままで、ふたりの関係はちっとも進展しないような気がする。
女の子大好きを日頃から公言しているザックスは、その鈍さで自分の気持ちに気づかなさそうだし(そもそも相手が男だから考えが及ばなさそうだ)、クラウドはその内気な性格からして自分では言い出せない、もしくは奥手が過ぎて恋がどんなものなのかをまだ知らず、恋を自覚できないという可能性もある。
カンセルは考えた。
自分が何かしらの道筋を作るか、ほんの少しでも手伝ってやったほうがいいのだろうかと。
カンセルの心配は杞憂で、それはただの友情かもしれないが、それだって今のこのちょっと傍から見たらもどかしくも見える二人の関係を改善する手助けをできるかもしれない。背中を押してやるくらいには。
そして何よりもカンセルを動かそうとしているのは好奇心だった。
思いついたそれを実行したら、友人は果たしてどんな顔をするだろう。少年には嫌な思いをさせてしまうかもしれないが、事情を話せばおそらく自分の提案を拒みはしないだろう。…まあ断られても実行するつもりだが。
カンセルは俯いているクラウドに右手を伸ばし、その頬に優しく触れて顔を上げさせた。
「…なあ、俺と付き合ってみるか」
少年の大きな目がさらに見開かれる。薄青い双眸が戸惑いに揺れた。何を言われたのか理解できないといった感じだ。
こうして改めて見ると、本当に整ったきれいな顔だなと、大袈裟ではなく心底素直に感心する。性格的にもう少し前に出るタイプだったなら、華やかにもっと周囲の人間を惹きつける存在でいるかもしれなかった。
「カンセルさん…?」
「付き合おうよ」
向こうのテーブルからザックスが凄い形相ですっ飛んでくるのを目の端で捉えながら、カンセルはクラウドに優しく微笑んだ。
すきなひと2
「なんでおまえがここにいるんだよ、ザックス」
「いいだろ、俺はクラウドのトモダチだ」
「俺はクラウドと二人で話をしたいんだ。だからおまえは邪魔」
「邪魔って何だよ。話すだけなら別に俺が横にいたっていいじゃんか」
「何度も言わせるなよ。俺は二人で話したい」
選んだのは、天井から柱、床、テーブルや椅子に至るまで、木材が使用されているアンティークな雰囲気が漂う喫茶店だった。暖かみのある淡いオレンジ色の灯りが小さなテーブル越しに向かい合って座る二人を照らしている。
クラウドは居心地が悪そうに肩を小さくして、カンセルの顔をおずおすと上目遣いに見上げた。
「ちょっと話がしたかったんだ。悪いな、つき合わせて」
「いえ…、あの、話って…?」
クラウドは自分の背後を気にして、ちらちらと落ち着きなく視線を送っている。その先には、こちらの様子をじいっと窺っているひとりの男が座っていた。通路を挟んで三つほど離れたテーブルだ。その男は隠すことなく堂々と自分の存在をカンセルとクラウドにアピールしていた。言わずもがな、ザックスである。
「とりあえず今はあれは気にしないで」
少しでもクラウドをリラックスさせることができたらとカンセルは笑顔を向けたが、クラウドは目の前にいるカンセルよりもザックスのほうがどうしても気になってしまうようだった。
「…でも一緒のお店にいるのになんで…」
「そんなにザックスと一緒にいたい?」
途端にクラウドはぱっと顔色を変えて、ぶんぶんと激しく首を横に振った。
「そんなんじゃないです!」
「まあ俺相手じゃ退屈かもしれないけど、すぐに解放してあげるからちょっとだけ我慢してよ。そのあとはあいつと一緒にどこに行っても構わないからさ」
「そんなつもりじゃないです。だって今日はカンセルさんとしか約束してないし、俺別にザックスとは…っ」
口では必死に否定していても顔を真っ赤にさせているのでは意味がない。
「……ふうん…」
カンセルはそんなクラウドの顔を身を乗り出して覗きこんだ。
なるほどなぁと思う。
おとなしくて控え目な性格であまり目立たず、普段はきれいな髪の色と整った顔立ちがまあ多少印象に残るかなあという程度の少年だが、こうしてよくよく見ると割と…。
「な、なんですか」
「いや、ザックスが構いたくなるのもわかるような気もするなあって思って」
「は…?」
「かわいいなって意味」
カンセルが手を伸ばしてクラウドのつんつんはねた髪をくしゃっとかき回したら、向こう側で「おまえ何してんだクラウドから離れろーっ」と騒ぐ声がしたが、カンセルは当然無視をする。
カンセルは顔をクラウドに寄せたまま、離れた場所の友人に声が届かないようにわざと小声で話しかけた。
「ザックスに聞いたよ」
「…何をですか?」
「付き合うんならザックスじゃなくて俺の方がいいって言ったんだって?」
「あ…っ、え、そ、それは…」
クラウドは目に見えてうろたえて、ちらっとザックスを振り向き、それからカンセルに向かって慌てた様子で言葉を継いだ。
「す、すみません…! あの、不愉快な思いをさせてしまったのなら謝ります。あなたの名前を出したのに、別にそんな深い意味はなくて…っ、まさかザックスがカンセルさんに言うなんて思わなかったから…ごめんなさい!」
「不愉快だなんて思ってないけど、もしかして何かの勢いで心にもないことをザックスに言ったとか?」
「いえ! …いいえ、そうじゃないけど、あの……」
「俺は選んでもらってうれしかったんだけどな」
「…カンセルさん…」
クラウドは頬を赤らめ、どういうつもりでカンセルがそんなことを言ったのだろうと探りながらも、上目遣いで困ったというように恥ずかしそうにちらちらと視線をカンセルの方に向ける。
「おまえ…本当にかわいいな」
「…そういうふうに言われるのは…嫌い、です…」
「ザックスにもよくそう言われてるだろう?」
「……」
クラウドはこれまで以上に顔を真っ赤に染めて口をヘの字に曲げ、カンセルを見上げる。その通りだと彼の目がカンセルの問いを肯定していた。
その顔を見れば、カンセルには分かってしまった。クラウドがザックスのことをどう思ってて、どういうつもりでザックスと比較してカンセルの名を出したのか。分かるような気がした。
「…おまえも苦労してんな」
「……どういう意味ですか」
「あんな女たらしの、ある意味鈍感なやつの気を引こうって一生懸命なんだなっていうのが今回のことでよく分かった」
「まさか! ち、違います誤解です! 俺はザックスのことなんて…!」
「もしかしたらお兄ちゃんに構って欲しい弟の心境ってやつかもしれないけど、とにかくザックス相手じゃ、それもなかなか大変だ」
「だからそんなんじゃ……っ」
クラウドは急に勢いをなくし語尾を弱めると、じわじわと俯いて口をつぐんでしまった。
カンセルはクラウドの背後のザックスに目をやる。距離的にこちらが何を話しているのかまでは彼にはわからないのだろう。それでも心配そうな顔で終始こちらの様子をじいっと見つめている。
あんな調子のザックスに、目の前のこんな様子のクラウド。
ザックスがクラウドを思う気持ちは弟を心配するそれのような気持ちで、クラウドがザックスを慕う気持ちは弟が兄を思うようなそれなのだろうか。それとも。
カンセルは、もしこれが万が一にでも「恋心」だったとしたら、と仮定して考える。
だとしたらきっと放っておいたらいつまでたってもこのままで、ふたりの関係はちっとも進展しないような気がする。
女の子大好きを日頃から公言しているザックスは、その鈍さで自分の気持ちに気づかなさそうだし(そもそも相手が男だから考えが及ばなさそうだ)、クラウドはその内気な性格からして自分では言い出せない、もしくは奥手が過ぎて恋がどんなものなのかをまだ知らず、恋を自覚できないという可能性もある。
カンセルは考えた。
自分が何かしらの道筋を作るか、ほんの少しでも手伝ってやったほうがいいのだろうかと。
カンセルの心配は杞憂で、それはただの友情かもしれないが、それだって今のこのちょっと傍から見たらもどかしくも見える二人の関係を改善する手助けをできるかもしれない。背中を押してやるくらいには。
そして何よりもカンセルを動かそうとしているのは好奇心だった。
思いついたそれを実行したら、友人は果たしてどんな顔をするだろう。少年には嫌な思いをさせてしまうかもしれないが、事情を話せばおそらく自分の提案を拒みはしないだろう。…まあ断られても実行するつもりだが。
カンセルは俯いているクラウドに右手を伸ばし、その頬に優しく触れて顔を上げさせた。
「…なあ、俺と付き合ってみるか」
少年の大きな目がさらに見開かれる。薄青い双眸が戸惑いに揺れた。何を言われたのか理解できないといった感じだ。
こうして改めて見ると、本当に整ったきれいな顔だなと、大袈裟ではなく心底素直に感心する。性格的にもう少し前に出るタイプだったなら、華やかにもっと周囲の人間を惹きつける存在でいるかもしれなかった。
「カンセルさん…?」
「付き合おうよ」
向こうのテーブルからザックスが凄い形相ですっ飛んでくるのを目の端で捉えながら、カンセルはクラウドに優しく微笑んだ。
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