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ありきたりなネタですが(笑)
下のつづきからどうぞ。


+ + + + + + + + + +
+++++



1111kiss


「クラウド、ん!」
ザックスが菓子の先を口に加えてクラウドのほうに顔を突き出した。
「? なに?」
クラウドは意味が分からず首をかしげた。
「ほっひ、ふわえれ」
口でくわえているために発音が不明瞭になって全然聞き取れない。
何?とクラウドは眉を寄せる。
ザックスが口を動かすたびにぶらぶらとその棒状の菓子は揺れていた。それは細く長く焼いたプレッツェルに薄くチョコレートがかかっている割とどこのマーケットにでも売っているスタンダードな菓子だった。
「だあらほっひ~」
「だから何を言ってるのか全然分からない。食べてから話せよ」
ばっさりなクラウドにザックスはちょっとがっかりした顔をしたが、意思の疎通を優先させたほうがいいと判断したらしく、菓子を口の中におさめてから再度口を開いた。
「今みたいに俺がこっちくわえたら、クラウドはそっちくわえて」
「…なんで」
同じ菓子をふたりでくわえなければならないのか。
「クラウド、今日は何の日か知ってるか?」
「今日?何かの日なのか」
「そう、ポッ○ーの日!」
「○ッキーの日?」
「そう!だからポ○キーゲームしよう!」
「いやだ」
クラウドはにべもなくザックスの願いをはねつけた。
「ええええなんでえええ」
ザックスは唇を突き出して体を揺すった。
しようよしようよと新たに袋から取り出した菓子を振り回しながら駄々をこねる様は子供のようだ。泣く子も黙るソルジャーなのに。
彼はこうして頼めばクラウドが折れてくれると思っているのだ。しかしそうはいかない。
「なんでー。別にいいじゃん」
「…俺は逆に聞きたい。なんでザックスと俺がそんなことをする必要があるんだ」
「え、面白そうだしポッキ○の日だしやっときたいじゃん!」
「あんたちょっと『何とかの日』てヤツにこだわりすぎだろ!」
「だってイベント事には乗っかっておいたほうが色々面白いし盛り上がるじゃん。楽しんでおいたほうが得じゃね?」
「楽しむって…俺と○ッキーゲームして楽しいのか?」
「うん楽しい!!」
満面の笑顔でザックスが返す。
クラウドは頭がくらくらした。
だが一度言い出したことをザックスがなかなか諦めないことは、もう短くはない彼との付き合いで学習済みだ。
この後延々とごねられる鬱陶しさよりも、ぱっと彼の願いを叶えてやってしまって終わらせたほうがいいかもしれないとも思う。
ゲームのルールは単純明快、菓子の両端をふたりでくわえて食べ進み、先に菓子から口を離したほうが負け。
ある程度ゲームに付き合ってクラウドから先に口を離して降参すればいい。勝ち負けにはこだわらずに。それでザックスの気はすむはずだ。
「…わかった。1回だけだからな」
「えっ、いいの?やったあ!」
飛び上がらんばかりにザックスは喜んだ。
クラウドは改めてザックスの前に正面から座りなおした。
ザックスは手にしていた菓子を口にくわえ、さっきと同じようにクラウドのほうに体ごと顔を突き出した。
「……」
クラウドはためらいながらも顔を寄せ、菓子の先を唇で挟む。
「いっふえ~」
やっぱり何て言ったのかは分からなかったが、勝負の火蓋を切る合図らしい。ザックスが少しだけ口を動かして前進した。
菓子の長さはたかだか10数センチ。
最初だって無駄にザックスの顔が近くて落ち着かなかったのに、さらに顔が近づく。
こうして近くで見ると彼の整った顔の造作をクラウドは改めて意識してしまう。
間近で目が合う。
なんだか見つめられると気恥ずかしい。
別に男同士だし、どうってことないし、どきどきするなんておかしいと思うのに、クラウドは顔に血が上るのをどうすることもできなかった。
もうそろそろ口を離そうかな…と思ったところで、ザックスがひどく真剣な表情でこちらを見ているのに気づいた。
子供のようにはしゃいでいたさっきまでとは明らかに纏う空気が変わっている。
……なんだろう。
なにか、いやな予感がした。本能レベルで。
そのとき、ザックスの口端がわずかに上がった。
その動きにクラウドの気が取られた一瞬の――瞬きするくらいのわずかな隙をついたザックスの次の動作。
「……っ」
口を開いたザックスが菓子を噛み砕くと一気にその距離を縮めてきた。クラウドがわずかに体を引く間もなかった。
唇に、ふにゃりと柔らかい感触。
クラウドの口から菓子を全てさらっていく。
本当に、一瞬の出来事。
何があったのか、何をされたのか、頭では分かっていても、飲み込めない。信じたくない。
声もなく、クラウドは目の前で菓子を租借し、ゆっくりと飲み込む友人の顔を見つめ返した。彼は満足そうに目を細めて笑っている。
「今の勝負はあいこかな」

触れた。
唇が。
唇と唇が。
たまたまあたってしまっただけ?それともわざと?
…いやわざとする理由が分からない。
唇と唇が触れ合えば、それはキスだ。男同士でする意味はないし、ザックスがクラウドとキスしようとするなんて考えられない。
じゃあ…じゃあ何だったんだろう。今のは。たまたま当たってしまった事故なんだろうか?
もしかして触れたと思ったのはクラウドの錯覚だったとか。
あまりにもザックスの顔が近すぎて、パニックになった頭が馬鹿な勘違いをしたという可能性はないか。
ああ、そうかもしれない。きっとそうだ。
だってザックスの様子はいつも通りだ。
唇が当たっちゃったよ~なんて言って慌てている様子もないし、奥手なクラウドの反応をうかがったり、その様子を見てからかっているような素振りもない。
だから今のは実際にあったことではないに違いない。

「クラウドも食べる?」
ザックスは菓子を指で1本つまんでクラウドの口元に近づけた。
「ほら、あーん」
あーん、て…。恥ずかしい。子供みたいで。
でもクラウドは素直に口を開いてそれを受け入れる。
舌の上に乗って溶けたチョコレートは思ったよりも甘かった。
「おいし?」
クラウドはビスケットを砕く音を自分の耳で聴きながら小さく頷いた。
耳が熱い。きっと耳といわず顔中が真っ赤だろう。自分が何をどうしたいのかクラウドにもわからなくなっていた。
事故でもただの自分の妄想だったとしても、ザックスとキス…ていうかあれをキスだと認識した自分が恥ずかしい。
キスだったらファーストキスだったのに、なんて思っている自分が死ぬほど恥ずかしい。

「おまえホントにかわいいな」
不意にそんなことをザックスが言う。
いつもならかわいいなんて言われようものなら、反発する気持ちのほうが表に立って言い返したくなるのに、今はなぜだかそんな気持ちにならず、胸のどきどきが増しているクラウドだった。こんなのは変だ。さっきから本当にどうかしている。
「もう1回しようか」
「え…」
「勝負ついてないし」
つまり○ッキーゲームを、あれを、もう1回やるのか。
クラウドははっきり言って、今はもうあの顔の近さに耐えられる自信がまるでなかった。
今度はもっとひどい白昼夢を見てしまいそうだ。
連日の任務で疲れているのかもしれない。帰ってひとりになって休んだほうがいいんじゃないかと思い始めたところで、ザックスがぽつりと言った。

「まあゲームっていう口実がなくても、これからはしたいときにもうするけどね」



end.


+++++
なんか消化不良ですみません;;
今ムショーにポッキーが食べたいです。

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