「変な夢見た…」
「どんな夢だ?」
「…なんか俺の隣でザックスが、”嫁さん連れてきた。紹介する”とかなんとか言ってるんだ」
「へ? なんだそりゃ」
「たぶん俺たちの前にあんたのご両親がいるんじゃないのか。顔も姿も出てこなかったけど。で、流れだとどうやらザックスは俺を紹介してたっぽいんだよな」
「ぶっ。クラウドが俺の嫁さんてことか!?」
「笑うなよっ。だから変な夢だって言っただろ」
「で? で? 紹介してそれからどうしたんだよ」
「どうしたって……なんか喜ばれてたっぽい」
「俺の父ちゃん母ちゃん喜んでたかー、そっかそっか」
「面白がらないでよ。ありえない、どんな夢だっての。夢の中の俺も俺で、ナチュラルに自分が嫁だって肯定してるし、信じられない」
「夢だろ」
「おまけにそのあと急に場面展開みたいに、森みたいなとこでザックスとふたりきりになって、…なって……、ああ、ホントどんな夢みてんだ俺っ、サイテー!」
「ん? 森の中でふたりきりでどうしたんだよ?」
「…っ、な、何でもないっ、何もしてないよ!」
「何かしたのか? 気になるじゃねえか。親に結婚報告したあとふたりきりで森の中で…、あ! もしかして盛り上がってエッ――」
「うわあああああ! 何言ってんだ何言ってんだ馬鹿ザックス!! んなわけないだろ!」
「え、違う?」
「ていうか俺とザックスでそもそもありえないし…っ!」
「えー、そうかな。俺別にクラウドとだったらなんか出来そ…」
「真顔で恐ろしい冗談言うな!」
「いてっ、暴力反対ー。でもさ、夢って深層心理をあらわすとか言うし、もしかしてクラウドってば俺とそういう仲になりたいなんて心のどこかで思ってるとか」
「ザックス! いい加減に…」
「つーかセックスの夢見るなんて、おまえ欲求不満…」
「そこまでしてない! キスしてる途中で目が覚めたんだ!」
「……」
「……」
「…ふーん」
「……あ…」
「俺とキスしたんだ? どうだった、俺とのキスは?」
「え…だから、ゆ、夢だし…」
「気持ちよかった? 俺って結構うまいよ、キス」
「…んでそんなこと聞くんだよ…うまいとか知るか。夢なんだから…そんなの…」
「そっか。じゃあしてみる?」
「え…?」
「―――なーんてな」
*
(へー、面白いな。ちゃんと夢になったんだ。この手って有効なんだなあ。枕元で延々と俺の願望垂れ流して話してるだけなのに。これってある意味洗脳なのかな。まあいいや。んじゃ次は――)